レーザーで悪化するシミについて
顔脱毛をする際にシミがあっても大丈夫かという質問はよくされます。シミには老人性色素斑、そばかす、肝斑、炎症後色素沈着、ADMなど様々な種類があり、一部のシミはレーザーで良くなるものもあります。
しかし、シミの中でも肝斑にはレーザーを当てると悪化するリスクがあります。逆に言うと、シミの悪化に関しては肝斑を避ければ基本的には大丈夫です。もちろん肝斑以外のシミであるADM、SKであったとしても色素の濃い部分はホクロと同様に火傷のリスクがありますが、シミ自体の悪化には基本的にはつながらないと考えて大丈夫です。ですので、シミの中では肝斑に関しては悪化のリスクがあるため避けることが鉄則です。
肝斑とは
肝斑とは両頬に対称性に生じる後天性の色素異常症のことを言います。これは現象であり、病因ではなく、では肝斑とはそもそも何なのかなのですが、肝斑の病態生理や原因自体はまだはっきりと解明されておらず複数の要因(メラノサイトの活性化、酸化ストレス、肥満細胞の増加、弾性繊維の変性、基底膜の変性、血管新生等)が合わさっているとされています(Artzi 2021) また、肝斑のリスク因子としては刺激(顔を擦ること等)や日焼け、妊娠、ピル、抗てんかん薬があり、また遺伝的な要素もあります。
肝斑の治療
肝斑の治療ではトリプルコンバインクリーム(トレチノイン、ハイドロキノン、ステロイド)が外用薬では有効性が高く、内服ではトラネキサム酸が有効というネットワークメタ解析が行われています(Liu 2021)。
トラネキサム酸は肝斑治療のスタンダードな方法で効果も確立されています(Feng 2021)。トラネキサム酸は抗プラスミン作用でメラニンの生成を減少させる効果があります。こちらでは24件の研究をみたメタ解析です。これらの研究ではトラネキサム酸の内服は4週間から効果は認められるという結果です。
トレチノインはビタミンA誘導体で表皮のターンオーバーを促進する作用を持ちます。効果として表皮中のメラニンを減少させるため効果が言われています。一方でトレチノインの副作用として痒みや肌が向けたりする作用があるため刺激によって悪化しやすい肝斑では逆効果の場合もあります。
ハイドロキノンはメラニン生成を抑制する薬剤であり、肝斑にも一定の効果が報告されているが炎症や色素脱出などの副作用もあるため慎重に使用することが望ましいです。
ステロイドは上記2種による炎症などを抑える副作用止めが主な目的です。
また、ここでは紹介されていなかったものとしてハイドロキノンより効果の強いと言われているシステアミンも一部使用されています(シスペラなどで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません)。
システアミンについては肝斑治療には現段階ではそこまで用いられておりませんが、最近メタ解析の論文が出ていたので簡単にご紹介します(Santos-Neto 2022)
このメタ解析では6件の論文が含まれており、5%システアミンクリームを1日1回夕方に塗布し、塗布時間は15分~180分と様々で約4ヶ月ほど治療はされておりました。その結果、全てで色素沈着を有意に改善させるという結果でした。この中では一部ハイドロキノンよりもより効果があるとするものもありました。
レーザー脱毛をする際の肝斑対策
レーザーによる顔脱毛自体は肝斑の悪化要因としてあります。もちろん分かりやすい肝斑に対してはエステであろうと医療であろうと脱毛器を当てることは控えないといけません。しかし、いわゆる目立たない隠れ肝斑が実はあってそれが悪化するということも可能性としてはあるため100%事前に防ぐことは不可能に近いと言えます。
そのため肝斑が出始める20-30代以降の方で顔脱毛を行う上で肝斑の悪化が心配な方は基本的には①トラネキサム酸を内服し、②顔への刺激を最小限に抑えることが重要かと思います。
特に②については化粧を落とす際にゴシゴシ、日焼け止めを塗ってゴシゴシ、落としてゴシゴシと無意識のうちにかなり刺激を与えている場合があるため気をつけて頂くと良いのかなと思います。極端な話ですが、顔脱毛で通院されている期間は最も理想的なことは自宅にいるときはもちろんそのままで、外出の際も化粧や日焼け止めをせずにできる限りUVカットの入ったマスクなどで過ごして頂くと良いかもしれません。また室内で一人など感染対策でマスクが不要な際には外しておくことも大切です(逆につけすぎてしまうと蒸れたり、ニキビの原因になったりもしてしまいます(Park 2022))
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記事執筆
- 森口翔 M.D. Ph.D
- 慶應義塾大学医学部卒業
- 慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了
- 医療脱毛専門クレストスキンクリニック医師