
幅広い年齢層の男性に人気のヒゲ脱毛ですが、医療レーザー脱毛(以下、レーザー脱毛)においては効果に満足するまでに最も回数のかかる部位の一つでもあります。当院に通われている患者様も、多くの方が10回または15回のコースを選択されますが、コース終了後に施術を追加される方やすでに別なクリニックやエステで脱毛を受けてきている方も少なくありません。
「レーザー脱毛は太い毛には効きやすい」という点から考えると、ヒゲ脱毛はあっという間に終わる気がするのにどうして?と思いませんか?
今回は、なぜヒゲのレーザー脱毛には回数がかかるのか、いったいどこまで減らすことができるのかについて掘り下げていきます。
ヒゲとは
ヒゲは主にヒトの顔から顎の下にかけて生える毛を指します。ヒゲが生える明確な理由は現在でも不明であり、「身体を保護する目的」や「性的な特徴として発達したもの」など様々な説があります。
体毛と同じように、国や地域によってヒゲを処理するかどうかの考え方には差があります。ヒゲの存在意義も、時代の流れや信仰する宗教などによって違いがあるようです。
とりわけ日本では、「ヒゲを生やしている=不潔、だらしない」という印象をもたれやすく、社会人ともなればヒゲは毎日剃るという習慣がある男性の方が圧倒的に多いかと思われます。しかし、近年は多様性やパーソナリティーを重要視する風潮から、ヒゲもおしゃれの一環やアイデンティティとして自由に伸ばしている方も見受けられます。
ヒゲ脱毛をする理由
髭剃りが毎日の習慣となっている反面、負担に感じている方は少なくありません。以下は当院に通院中の患者様から挙がったヒゲ脱毛をしようと思ったきっかけの一例です。
- 忙しい朝に負担を感じる
- 朝剃ってもお昼過ぎには伸びてしまうが、仕事柄伸ばしておけないため会社でも剃っている
- 髭剃りをすると肌が荒れてしまう
- カミソリによる刺激でいつもひりひりしている
- うまく剃れなくて傷ができてしまう
- 丁寧に剃ったつもりでも残ってしまう
- どうしても不潔に見えてしまう
- 長年髭を剃っていたら色素沈着が起こってしまった etc…
このように、髭剃りや肌の負担を軽くしたい、見た目の清潔感を出したいという思いから脱毛に踏み切る方が多くいらっしゃいます。
ヒゲ脱毛にかかる回数
当院では、レーザー脱毛でヒゲを脱毛する場合、ヒゲが薄くなったと実感するのは5~8回ほど、自己処理の頻度が減る、またはほとんど必要なくなる程度までだと10~15回ほど、ツルツルまで目指すなら20回以上という目安を患者様にお伝えしています。
ただし、これらの目安回数には、元々の毛量や毛質、痛みへの強さ、肌状態、通院間隔など様々な要素が影響し個人差が生じます。また、使用する機械や設定によっても差が生じるため、レーザー脱毛を受ける際は機械の種類や照射方法などを明示しているクリニックをおすすめします。
レーザー脱毛でどこまで減らせるか
では、実際にレーザー脱毛でどこまでヒゲを減らすことが出来るのかという点ですが…
結論から言いますと、レーザー脱毛のみでヒゲを1本も残らず脱毛することは現実的ではありません。
レーザー脱毛のみで完全に毛をなくすことはほぼ不可能に近く、可能であったとしてもそれにかかる費用や期間、リスクは大きいと考えられます。
現実的ではない理由
レーザー脱毛は太い毛に対する効果は高く、ある程度の状態までの減毛はしやすいですが、目立つ毛が減ってきた後、数本残った太い毛や細い毛まできれいに無くすことはかなり難しいのが事実です。
また、毛を剃った状態で発毛部だけを見極めて照射をすることは難しく、照射漏れを防ぐためには少し広めに照射をする必要があります。さらに、レーザーは照射口のサイズが決まっており、数本だけ照射するということができません。不要な箇所に照射を続けることで、結果として硬毛化リスクを高めてしまう原因にもなります。
このような理由により、毛を最後の1本までレーザー脱毛で無くすことは現実的ではないのです。
ヒゲが無くなりにくい理由
毛には毛周期があり、成長期・退行期・休止期を繰り返して生え変わります。成長期に毛が皮膚表面に出て伸びている時、実は皮膚の内側でも深く根を下ろすように伸びており、それに伴って毛包(毛球位置と毛包長)も大きく変化します。その後退行期へと移行しますが、毛が毛穴から抜ける準備が始まると深く下ろした根も離れていくため、毛包も元の大きさへと小さくなっていきます。
ヒゲ全体の特徴として、皮毛角(皮膚と毛が作る角度のこと)が大きいという点があります。皮毛角が大きい=毛が直角に近い角度で生えているということです。
レーザー脱毛における照射のベストタイミングといえば「成長期」ですが、成長期は毛が太くしっかりとしていて効率よくレーザーの熱エネルギーを吸収できる反面、皮毛角が大きい毛では毛根が深い位置にあるため、十分な量が必要なところまで届きにくいという難点もあります。
ヒゲはレーザーが効きやすい要素と効きにくい要素の両方を持っているため、効果を実感しやすいのになかなか無くならないという方が多いのです。
ヒゲを効率よく脱毛する方法
ヒゲは特に、口角の少し上のあたりや唇のきわ、顎先などにしぶとく残る傾向があります。口周りはヒゲの中でも特に皮毛角が大きく、元々の毛量も多いため残りやすい部位といわれています。また、ヒゲは毛根鞘という毛の根本を守る部位が分厚く、熱が伝わりにくいことも理由の一つです。
ある程度レーザー脱毛で減毛した後、そこからなかなか無くならないと感じている方には、ニードル脱毛(医療絶縁針脱毛)で仕上げるのがおすすめです。もちろん、ニードル脱毛でも細めの毛や産毛などは効果を出しにくいですが、レーザー脱毛と比較すると残った毛を減らすことには有利です。
レーザー脱毛とニードル脱毛を組み合わせる
ニードル脱毛は、毛穴ひとつひとつに針を挿入し、毛根周囲に直接電流を流すことで発毛組織を破壊する脱毛方法です。毛根に直接アプローチするためレーザー脱毛と比較すると確実性が高く、脱毛の最終段階においては、より短い期間で納得のいく状態まで仕上げることが可能です。また、抜きたい毛のみを施術できるため、不要な箇所への刺激も最小限にできます。
レーザー脱毛は広範囲の毛を無くすには効率的ですが、ニードル脱毛のように毛根へ直接アプローチできるわけではないため、ある程度の回数照射を行っても無くなりきらないという方がほとんどです。一方で、ニードル脱毛は1本ずつ地道に施術を行うため、一度に広範囲や多量の毛を施術することにはあまり向いていません。
レーザー脱毛もニードル脱毛も、費用や期間、痛み、リスクなどさまざまな面においてそれぞれにメリット・デメリットがあります。組み合わせて脱毛することでお互いの短所を補い、最終的には満足度の高い結果が得られると考えます。
あとがき

今回はヒゲの効率的な脱毛方法についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
ニードル脱毛はここ最近になって知名度も需要もかなり高まってきていますが、実はレーザー脱毛が主流となるもっと以前から行われていた方法です。
昔からある技法が少しづつ進化してまた必要とされる時代がくるというこは、それ自体の安全性や信頼性が高いという証明でもあり、とても良いことですよね。
当院でもニードル脱毛をご希望の方が続々と増えておりますので、きれいな仕上がりを目指している方や気になった方はぜひお問い合わせください。