永久脱毛の定義はあるのか?
「永久脱毛」という言葉を耳にすることが多いですが、実はその定義は非常に難しいものです。日常会話でよく使われる「永久脱毛」には、厳密に言えば日本では定義が存在しません。そのため、私たち医師がカウンセリングの際に、「永久脱毛」の意味を説明するときは、具体的な定義も添えて話すことが大切です。例えば、「この毛穴から2度と毛が生えてこないという意味の永久脱毛」といった具合に説明しています。
では、なぜ「永久脱毛」の定義付けが難しいのでしょうか。それは、本当に10年後や50年後も毛が生えてこないことを証明することが困難であるためです。これは、悪魔の証明のようなもので数十年追ったところで「来年に生えてきたらどうしよう?」などと永久に証明は困難となってしまいます。そこで、FDA(アメリカの厚労省のような政府機関)は、「永久減毛(permanent hair reduction)」という言葉を使い、「施術後に生えてくる毛の数が長期的に(毛周期を超えて)減ること」と定義しています。
この「永久減毛」という曖昧な表現の定義は、20年以上前の1998年にDierickxがJAMA Dermatologyに報告した古典的な論文から参考にされました。
永久脱毛の定義のもとになった報告
この検証(Dierickx, 1998)では、13人の成人(男性12人、女性1人、皮膚タイプは色白のI、II、III型)が大腿部にルビーレーザー(694-nmの波長、0.27ミリ秒のパルス幅、6-mmのスポットサイズ)を1回照射し、効果を検証しています。対照として、レーザーと反対側の大腿部にワックスで脱毛を行いました。そして、レーザー照射後の1、3、6、12、24ヶ月目に写真を撮り、毛の数を測定しました。13人のうち7人がレーザー照射後2年までフォローアップされ、そのうち4人は照射部位に発毛が見られず、逆に3人は発毛が認められました。この4名には64.3%±1.1%の減毛が確認されました。以下の図1は、30-60J/cm2のフルエンスで照射した1年後と2年後にどの程度毛が残っているかを示しています。一見、60J/cm2であっても毛がかなり残っているように見えますが、これには休止期が終わって再び生えてきている毛も含まれています。また、図2は同様に60J/cm2でレーザー照射後3ヶ月後と2年後の脱毛されている部位の拡大写真です。
この論文では、次のように結論づけられています。
大腿部の毛の休止期は、3~7ヶ月間続き、その後、毛包は成長期となり毛が生えてきてこれも3~7ヶ月間続くと言われています。この研究では2年の検証期間があり、この期間は毛周期を十分に超えており、2-4回分の毛周期に相当します。
ただし、FDAの定義はこの論文を参考にしながらも、「脱毛」という言い方は強いと判断し、「減毛」という言い方に置き換えられています。その理由は、やはり2年よりも長い期間、例えば5年や10年といった効果が持続するかどうかの証明が難しいためでしょう。
一方で、1回の照射で2年後も効果が残ることが分かったこの研究結果は、医療脱毛に対する期待を高めるものですね。これらの知識を持って、医療脱毛を検討してみるのも良いでしょう。
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記事執筆
- 森口翔 M.D. Ph.D
- 慶應義塾大学医学部卒業
- 慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了
- 医療脱毛専門クレストスキンクリニック医師