はじめに
今回はドイツ、フランクフルトのE. Mezin-Sarbuらによるレビュー報告のご紹介です(Mezin-Sarbu 2023)。
VIOの脱毛および除毛に関する動機、方法、およびリスクについて検討しています。現代社会では、VIOの毛の処理が美容や衛生面から一般的に行われており、女性だけでなく男性も行うケースが増えています。しかし、この処理には様々なリスクも伴います。VIOの毛を処理する主な理由は、美容、衛生、性的魅力の向上、およびメディアの影響などです。特に女性にとって、周囲の同調圧力やパートナーの好みがVIOの脱毛や除毛の動機付けとなることが多いようです。男女での目的の違いもあり女性(70.5%)の主な動機は、衛生目的のためであり、男性(72.9%)は、美的な価値のためが主な理由でした。
これらの調査では290件の文献がヒットし、その中から61件の研究が分析されました。そのうち、47%(29件)が横断的研究で、21%(13件)が介入研究でした。観察期間は1ヶ月から23年で、VIOの脱毛が始まる早い年齢は8歳から13.5(±1.9)歳と報告されています。
VIO脱毛の方法として、シェービングが最も一般的で、23,453人の参加者において最も頻繁に行われていました。カナダ、ブラジル、イタリアでは、ワックス脱毛がシェービングと同じくらい頻繁に行われていました。
手段別の脱毛方法
VIOの毛の処理方法には、シェービング、除毛クリーム、脱毛ワックス、レーザー脱毛、そして電気脱毛(絶縁針脱毛)があります。これらの方法にはそれぞれ効果や長期性、費用が異なります。
- 除毛クリーム: これは特殊なクリームを使用して毛を溶かす方法です。除毛クリームは市販品が多く、手軽に使用できますが、効果が短期的で、肌に対する刺激が強い場合があります。
- シェービング: カミソリを使ってVIOの毛を剃る方法です。剃る方法は手軽で安価ですが、毛がすぐに生えてくるため定期的な処理が必要です。また、カミソリ負けや埋没毛が起こる可能性があります。
- 脱毛ワックス: ワックスを使用してVIOの毛を抜く方法です。ワックス脱毛は毛が根元から抜けるため、剃る方法に比べて効果が長持ちします。しかし、痛みが伴い、埋没毛や皮膚の炎症が起こることがあります。
- レーザー脱毛: レーザー光を使用して毛根を破壊する方法です。レーザー脱毛は長期的な効果があり、永久脱毛も期待できますが、費用が高く、専門的な場所での施術が必要です。また、施術後の皮膚の赤みや腫れ、火傷のリスクがあります。
- 電気脱毛(絶縁針脱毛): 毛根に直接電気を流し、毛の再生を妨げる方法です。電気脱毛は永久的な効果が期待できますが、費用が高く、時間もかかり、複数回の施術が必要です。また、施術後の痛みや腫れ、瘢痕のリスクがあります。
VIO脱毛でのリスクについて
もちろんVIOに限ったことではないのですが、VIO脱毛および除毛にはいくつかのリスクが伴いますのでその紹介です。
- カミソリ負け: 剃る方法での処理後、皮膚が赤く腫れたり、かゆみが生じることがあります。これは、カミソリで皮膚を削ってしまうことが原因です。
- 埋没毛: 毛が皮膚の下で成長してしまうことがあります。これは、剃るやワックス脱毛の方法で起こることが多く、炎症や感染を引き起こす原因となります。
- 感染: 脱毛や除毛の処理後、皮膚の傷が感染することがあります。特に衛生管理が不十分な場合、感染リスクが高まります。
- 皮膚の炎症や刺激: 除毛クリームやワックス脱毛では、皮膚に炎症や刺激が生じることがあります。これは、肌に対する刺激が強い成分が含まれている場合や、施術方法が適切でないことが原因です。
- 火傷: レーザー脱毛や電気脱毛では、施術時に皮膚が火傷を負うリスクがあります。これは、光や電気のエネルギーが皮膚に与える熱が原因です。
- 色素沈着: レーザー脱毛や電気脱毛では、皮膚の色素沈着が起こることがあります。これは、熱によって皮膚のメラニンが刺激され、色素沈着が生じることが原因です。
- 瘢痕: 電気脱毛やレーザー脱毛で施術が不適切な場合、皮膚に瘢痕が残ることがあります。これは、過剰な熱が皮膚組織を損傷し、瘢痕組織が形成されるためです。
- アレルギー反応: 除毛クリームやワックス脱毛に使用される成分に対してアレルギー反応が起こることがあります。これは、個人差による皮膚の過敏症が原因です。
リスクへの対策
これらのリスクを最小限に抑えるためには、専門家による適切な技術や衛生管理が重要です。以下は、リスクを軽減するための一般的なアドバイスです。
- 個人の肌質や毛質に適した方法を選択することが重要です。例えば、肌が敏感な場合は、刺激の少ない方法を選ぶようにしましょう。
- 脱毛や除毛の前に、皮膚の状態を確認してください。傷や炎症がある場合は、処理を避けるか、医師に相談してください。
- 除毛クリームやワックス脱毛を行う場合、パッチテストを行ってアレルギー反応がないか確認しましょう。
- カミソリで剃る場合は、新しいカミソリを使用し、十分な潤滑剤を使って肌に負担をかけないようにしましょう。
- レーザー脱毛や電気脱毛を受ける場合は、医師などの資格を持った専門家に依頼しましょう。また、施術後のアフターケアにも注意が必要です。
- 衛生管理を徹底して行い、感染リスクを低減させましょう。例えば、処理後に皮膚を清潔に保ち、適切なケアを行うことが重要です。
- 無理に毛を抜かないようにしましょう。力を入れすぎると、皮膚にダメージを与えることがあります。
- 皮膚に異常がある場合は、速やかに医師に相談してください。
以下表に特徴などをまとめてみました。
脱毛手段 | メリット | リスク・デメリット | 施術時間 | 施術回数 | 痛みの程度 | 適用部位 | 肌色・毛色の影響 | 医師の推奨度 |
シェービング | 簡単で低コスト、自宅で行える | かみそり負け、毛穴の詰まり、感染症のリスク | 短時間 | 頻繁に | 低 | どの部位でも適用可能 | なし | 低 |
除毛クリーム | 痛みが少ない、自宅で行える | 肌への刺激、アレルギー反応のリスク | 短時間 | 頻繁に | 低 | どの部位でも適用可能(指定製品による) | なし | 中 |
ワックス・シュガリング | 毛が根元から抜けるため、効果が長持ち | 痛み、感染症、毛嚢炎のリスク | 中時間 | 比較的少ない | 高 | どの部位でも適用可能 | なし | 中 |
レーザー脱毛 | 長期的な効果が期待できる | 痛み、熱傷、色素沈着のリスク | 長時間 | 数回 | 中~高 | ほとんどの部位で適用可能 | あり | 高 |
光脱毛 | 効果は一時的な場合が多い | 痛み、熱傷、色素沈着のリスク | 長時間 | 頻繁に | 低~中 | ほとんどの部位で適用可能 | あり | 中 |
電気脱毛 | 永久的な効果が期待できる | 痛み、感染症、色素沈着のリスク | 長時間 | 数回 | 高 | ほとんどの部位で適用 | なし | 高 |
まとめ
VIOの脱毛および除毛は、美容や衛生面での理由や性的魅力の向上、メディアの影響や友人などからの影響で行われることが多いですが、リスクも伴います。これらのリスクを最小限に抑えるためには、適切な方法を選択し、衛生管理を徹底することが重要です。
個人の肌質や毛質に合った方法を選び、施術を受ける場合は資格を持った専門家に依頼しましょう。また、施術後のアフターケアにも注意が必要です。皮膚に異常がある場合や、処理後に問題が生じた場合は、速やかに医師に相談してください。
最終的に、VIOの脱毛および除毛を行うかどうかは個人の選択であり、無理のない範囲で処理を行うことが望ましいです。
また、VIO脱毛と感染についてのお話は下記の動画でも行っております。
参考文献
Mezin-Sarbu, A., & Deutsche Dermatologische Gesellschaft. (2023). Epilation and depilation in the genital area: motivation, methods, risks. Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft, 21(1), 34-42.
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記事執筆
- 森口翔 M.D. Ph.D
- 慶應義塾大学医学部卒業
- 慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了
- 医療脱毛専門クレストスキンクリニック医師