高額だった医療脱毛の時代
約10-20年前までは、医療脱毛は非常に高額な施術でした。全身脱毛5回で100万円近くかかることもあり、多くの人にとって敷居の高い存在でした。高額であったことやまだ医療脱毛を行っているクリニックも少なかったため、当時はエステの光脱毛が主流でした。また、エステの光脱毛でも当時は出力をそこそこ高く出していたので、医療ほどではないにせよそれなりの効果はありました(その後火傷などのトラブルがサロンでも多く発生し、医療行為であるという厳しい指導が行われ出力を出すエステサロンは減っていきました)。
一方でそれでも効果に満足できない人が医療脱毛を求めていましたが、医療脱毛を受けるには、高い費用と長い施術時間が必要でした。全身脱毛に半日以上かかり、医師や看護師といった人件費の高さも価格が高い理由でした。
医療脱毛が高額だった理由は、主に希少性によるものでした。エステの光脱毛では効果に限界があり、より確実な脱毛を求める人が医療脱毛を選択していました。
また、医療脱毛を行うクリニックの数も限られていたため、価格が高騰していました。
蓄熱式脱毛機の登場
ここ5-10年ほどで、医療脱毛の価格は大幅に下がりました。その背景には、脱毛に使用するレーザー機器の進歩があります。特に、蓄熱式レーザーの登場により、全身脱毛の施術時間が大幅に短縮されました。従来の医療脱毛のメジャーであった熱破壊式レーザーでは1回の全身施術に数時間かかっていましたが、蓄熱式レーザーでは1時間以内で全身の脱毛が可能になりました。
施術時間の短縮により、クリニックは医療脱毛の価格を下げることができるようになりました。しかし、たとえ蓄熱式であったとしても脱毛の効果を出すためにはそれなりに十分な時間をかけた丁寧な施術が必要ですが、ビジネス上の理由からスピード脱毛が流行しました。施術時間を短縮することで、1日に多くの患者さんを受け入れられるようになり、価格競争が激化し低価格のクリニックが増えました。
そのような医療脱毛の低価格が人気を博し、大手を中心に脱毛クリニックが増えていき、流行していきます。また、エステの光脱毛も医師がいないところでのやけどなどの事故が増えたことでその出力はどんんどんと下がっていき、効果は以前よりもなくエステの光脱毛は脱毛できないという認識も急速に広まっていきました。
自社製レーザーの時代になり医療脱毛の価格は下がった
医療脱毛の価格競争がさらに激化する中で、より価格を下げるクリニックがどんどんと出てきます。コストの中で大きな割合を占めていたのはレーザーと人件費です。人件費は医師や看護師の給与は相場があるため大きくは下げられません。そこでレーザー機器の価格を下げることが次のターゲットとなりました。
レーザー機器の価格を下げるために高額の大手メーカー製の高性能のもんではなく、自社製や中国・韓国製のレーザー機器を導入するクリニックが現れました。これらのレーザー機器は、大手メーカー製のレーザー機器に比べて非常に安価です。自社製レーザーに関しては、半導体を使用すれば、自作パソコンのように比較的簡単に組み立てることができます。そのため、低価格で組み立て作成できるようになりました。
しかし、自社製や中国・韓国製のレーザー機器には、いくつかのデメリットがありました。
故障しやすい、出力が不安定、痛み対策としての冷却機能が不十分といった問題点がありました。
これらの問題は、医療脱毛の効果や安全性に影響を与える可能性がありましたが、脱毛の場合その場では毛が抜けてみえるため大きな問題にはなりませんでした。
一方で1年後などにまた再び結構生えてきたという患者さんがちらほら増えてきて蓄熱式や自社製などのものへの不信感が出始めました。
熱破壊式ハイブリッドにより価格を抑えつつ脱毛の効果が上がった
蓄熱式レーザーや自社製レーザーでは、効果に不満を持つ患者さんが徐々に増えてきました。受けている最中はその場は抜けるのであまり気づかれないのですがコース終了後、1〜2年経過しても十分な効果が得られないケースが多く報告されるようになりました。「なんだ、安いけれども効果が出ないではないか」と感じる方が増えてそこで、再び熱破壊式レーザーが注目されるようになりました。
しかし、価格競争の影響で、全身を熱破壊式レーザーで施術するのは非常にコストがかかるという問題がありました(施術時間が長いことで人件費、冷却ガス代)。そこで登場したのが、ハイブリッド型の施術方法です。ひげやVIOなど脱毛が難しい部位のみ熱破壊式レーザーを使用し、その他の部位は蓄熱式レーザーを使用するという方法です。これにより、全身脱毛の施術時間を短縮し、コストを抑えることができるようになりました。一方で広告では「熱破壊式を使用!」と書いているので集客もしやすいという流れがあります。
また、自社製の蓄熱式脱毛器を「熱破壊式」と呼んでマーケティングに利用するクリニックも出てきました。しかし、実際には蓄熱式レーザーを使用しているため、効果には限界があります。
価格を下げるために熱破壊式でスカスカに照射するクリニックも
当然、患者さんも気づいてきます。熱破壊式と書いてあっても全身が蓄熱式なら意味がないではないかと。その流れから患者さんが全身を熱破壊式レーザーで照射してくれるクリニックを求めるようになりました。
しかし、クリニック側はコストを下げ売上を多く取りたいという思いは依然としてあります。
そのため、全身を熱破壊式で打ちながら価格を下げるには十分なショット数を照射せず、スカスカな施術を行うというところが増えていきます。
熱破壊式レーザーの代表的な機種であるジェントルシリーズは、1ショットあたりの冷却ガス代がかなり高額です。そのため、ショット数を減らすことで価格を下げようとするクリニックが現れました。
例えば施術時間が2時間を切る場合は、スカスカな施術の可能性があります。クリニック側は、スピード脱毛で手際が良いこと、全身をジェントルレーザーで照射していることをアピールします。スピード脱毛が何やらいいもののように広告されますが、時間が早いことでのメリットよりも効果がでないことのほうがデメリットです。実際にはスピードが早くてもショット数が少ないため、効果は限定的です。
以上のような流れがあり現在は熱破壊式、ジェントルであってもスカスカに打っているというところが少なくありません。その場では一見抜けているように見えてもスカスカだとやはり効果は十分でません。価格が低いという点だけで選んでしまうと十分な医療脱毛効果が得られない可能性もあるので、レーザー機器のみではなく、所要時間も考慮して選ばなければなりません。
医療脱毛効果を重視した上での抑えた価格設定
そのような時代の流れもありますが、当クリニックでは医療者が主体となって運営しており、開院時から一貫して効果を最大限に引き出すことを重視しています。そのため、ネガティブな面も隠さずに説明をし、施術を行い、患者さんに正直に情報を提供しています。一般的な施術を行うクリニックの1.5〜2倍のショット数でジェントルマックスプロ(プラス)を使用しています。
価格は最安値ではありませんが、そのように密に照射をしながらも可能な限り価格を抑えるよう努力しています。また、男女での価格差についてもよく質問されますが(男性のほうが高い)、男性は体の表面積が大きく、毛も濃く太いため、女性に比べてショット数が多くなります。そのため、男性の施術価格は女性よりも高くなる傾向があります。
熱破壊式医療脱毛を効果的に受けるには?限界と対策
一方で現在の医療脱毛で最も効果が高いとされていますが、熱破壊式レーザーで密に打った場合であっても、万能ではありません。ジェントルマックスプロプラスは産毛に効果的とうたわれていますが、色素の薄い産毛には効果が限定的ですし、白髪、アートメイク後の眉周りやヒゲ、VIOなどの肌の色が濃い部位では、レーザーが打てなかったり、効果が不十分だったりします。
これらの部位に対しては、ニードル脱毛(医療絶縁針脱毛)が現時点での唯一の解決策と言えるでしょう。ニードル脱毛は、毛穴に直接針を刺して電流を流すことで毛根を破壊する方法です。レーザーでは対応が難しい部位や毛質にも効果が期待できます。
最も効果的で、結果的に安く済む脱毛方法は、密にショットを照射してくれるジェントルマックスプロで施術を受け、残った部位はニードル脱毛で仕上げることだと考えています。ただし、ニードル脱毛は熟練した技術が必要であり、施術時間もレーザー脱毛に比べて長くなります。そのため、ニードルでの価格は高くなる傾向があります。
医療脱毛の価格と技術は、時代とともに大きく変化してきました。低価格な施術を求めるあまり、効果が十分でない施術を受けてしまうリスクがあります。医療脱毛を検討する際は、価格だけでなく、使用する機器や施術方法、クリニックの方針などを総合的に判断することが重要です。自分に合った脱毛方法を選択し、納得のいく結果を得られるよう、慎重に検討しましょう。
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記事執筆
- 森口翔 M.D. Ph.D
- 慶應義塾大学医学部卒業
- 慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了
- 医療脱毛専門クレストスキンクリニック医師