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脱毛後の硬毛化とは?どういう場合にどのぐらいの頻度で起こるのか?

2024.01.12

カテゴリ… 脱毛コラム論文情報

1. 硬毛化とは何か?基本から学ぶ

1-1 硬毛化の定義

皆さんは「硬毛化(Paradoxical Hypertrichosis)」という言葉を聞いたことがありますか?実は、これは脱毛処理の後に起こる現象の一つで、毛が太く、硬くなることを指します。多くの人が脱毛をする目的は、余分な毛を取り除くことですが、時にはこの硬毛化が起こることがあります。では、硬毛化についてどのようなことが現時点でわかっているのか見ていきたいと思います。

1-2 硬毛化が起こるメカニズム

硬毛化はどのようにして起こるのでしょうか。脱毛のプロセス中、毛根への熱や光の影響で、毛が再生する際に異なる形質を持つことがあります。具体的には、毛が元々より太く、色が濃くなることがあります。これは、特にレーザーや光脱毛などの施術で見られる現象です。しかし、これが全ての人に起こるわけではありません。個人の肌のタイプや毛の特性、施術方法など、様々な要因が絡み合って起こります。残念ながら現時点では詳細なメカニズムまではわかっていません。そのため、対策についてもこうすれば必ず起こらないといったこともわからないといったことがございます。

1-3 硬毛化と一般的な毛髪の違い

普通の毛髪と硬毛化した毛は何が違うのでしょうか。一番の違いは、毛の質感と色です。硬毛化した毛は通常の毛よりも太く、色が比較的濃い傾向にあります。また、触った感じも硬く感じられます。このような毛は目立ちやすく、脱毛の目的に反してしまうことがあります。ただこれも幅があり、比較的薄い場合もあれば産毛に近いけれども毛が増えたということもあります。

2. 硬毛化の原因とその影響

2-1 脱毛による硬毛化の原因

では、なぜ脱毛によって硬毛化が起こるのか、先述の通りはっきりとはわかっていないのですがどのような仮説があるのでしょうか。主な原因は、脱毛時に用いられる光やレーザーが肌や毛根に与える影響と言われています。これらの治療は毛根のメラニン色素に反応し、熱を発生させて毛根を破壊します。しかし、この過程で毛根の一部が損傷を受け、再生する際に毛の生成に関する異常な信号を細胞に与えることにより異なる特性を持った毛が生えてくることがあるのではないかと考えられています。また、脱毛の繰り返しによって肌が刺激を受けることも、硬毛化に影響を与える要因の一つです。

2-2 ホルモンバランスとの関連性

硬毛化のもう一つの要因として、ホルモンバランスの変化が挙げられます。特に女性の場合、月経周期や妊娠、更年期などによってホルモンバランスが変わると、体毛の状態に影響が出ることがあります。これらの変化は、毛の成長サイクルにも影響を与え、硬毛化を引き起こすことがあります。また、ストレスや不規則な生活もホルモンバランスに影響を与えるため、間接的に硬毛化に関連しています。

一部では男性のほうが硬毛化の発生率が高いのではないかと言われており、当院で実施した医療脱毛を受けたことのある女性2193人、男性1081名へのアンケート結果でも同様の結果でした。女性は51名、男性100名が硬毛化をしたと答えておりました。このことからも男性のほうが硬毛化はしやすいと考えられます。

2-3 硬毛化が肌に与える影響

硬毛化は見た目の問題だけでなく、肌への影響もあります。硬く太い毛は、肌表面に押し上げる際に肌を傷つけることがあり、これが肌トラブルの原因になることもあります。また、硬毛化した毛は毛穴をふさいでしまうことがあり、それが毛穴の炎症や埋没毛の原因になることもあります。これらの肌トラブルを避けるためにも、硬毛化への正しい対応が重要です。

3. 硬毛化の予防と対策

3-1 正しい脱毛方法とは

硬毛化を予防するためには、正しい脱毛方法を選ぶことが重要です。プロフェッショナルな脱毛クリニックでは、個人の肌の状態や毛の特性に合わせて最適な脱毛方法を提案してくれます。また、自宅での脱毛処理を行う場合には、肌に優しい脱毛器具を選び、適切な方法で使用することが重要ですがやはり自身での判断は難しい場合も多いため、控えることが無難でしょう。過度な処理は肌を傷つけ、硬毛化の原因になることがあるため、注意が必要です。一方で専門的な脱毛クリニックであったとしても必ずしも硬毛化が防げるわけではないため注意が必要です。

3-2 予防可能な生活習慣の工夫

硬毛化を予防するためには、どうすればいいのかははっきりとはわかっていません。一方でバランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの管理などが、ホルモンバランスを整えることに役立つ可能性があります。また、肌への刺激を避けるために、適切なスキンケアを行うことも大切です。特に脱毛後は、肌が敏感になっているため、優しいスキンケア製品を選び、肌を保護することが重要かもしれません。

3-3 硬毛化を防ぐためのスキンケア

脱毛後のスキンケアは、硬毛化を防ぐために非常に重要です。脱毛後は肌が敏感になっているため、刺激の少ない保湿剤を使用することをお勧めします。肌を清潔に保ち、適切な保湿を行うことで、硬毛化のリスクを減らすのではないかとも言われています。

4. 硬毛化への対応方法

4-1 硬毛化に気づいたらすべきこと

もし脱毛後に硬毛化が起きたと気づいたら、まずは落ち着いてください。過度な心配や自己処理は状況を悪化させることがあります。最初のステップとして、専門の脱毛クリニックを訪れることをお勧めします。専門家は、あなたの肌の状態や毛の特性を評価し、最適な対処法を提案してくれるかと思います。

4-2 自然に軽減する可能性もある

硬毛化の治療法は、まずは経過観察で改善する可能性も多くございます。自宅で硬毛化に対処する場合は、まず肌を十分に保湿し、刺激を最小限に抑えることが大切です。強い刺激を与える美容製品やスキンケアは避け、肌を穏やかに扱ってください。また、自己処理を行う際には、肌にやさしい脱毛器具を使用し、適切な方法で行うことが重要です。自己処理が症状を悪化させることもあるため、注意が必要です。

また経過をみる期間としては半年から1年以上かかる場合もございます。

4-3 出力を上げたり、波長を変えたりすることで硬毛化に対応する

また、硬毛化した毛を薄くするためのレーザー治療も一般的です。専門の医療機関の指導の下で、適切な治療を受けることが重要です。出力が不十分であることで硬毛化が起こってしまうこともあるため、エネルギーを高くすれば硬毛化も解消されることが多いです。なおこの時、冷却やクーリングをあまりしないことも効果的であるとも言われています。クーリングが硬毛化をより起こしやすくするのではないかと言っている専門家もいます。
ただし、その際には火傷などには十分注意する必要があります。

硬毛化は、比較的毛が深くにある(いわゆる皮毛角の大きい場所)で起こることが知られています。
出力が十分なのに硬毛化が起きてしまった場合は、ヤグレーザーなど深達性の深いレーザーを使用することで硬毛化を解消することが期待できます。

4-4 ニードル脱毛を行う

自然経過でもレーザーの出力や波長を変えても改善しない場合の最後の手段としてはニードル脱毛(絶縁針脱毛)がございます。これは直接毛穴に針を入れ電流を流すことで毛根をやっつけるためレーザーに比べて確実な方法で脱毛できます。そのため硬毛化に対しても有効な手段となっています。

5.世界における硬毛化の報告について

硬毛化は比較的新しい概念であるため、あまり知られていない点が多くありましたが世界ではどの程度の調査があるのかを調べてみました。硬毛化についてまとめたメタアナリシス論文がありましたので紹介します(Snast 2021)。この報告では硬毛化の有病率と関連リスク要因をみることを目的としています。

この研究では、レーザー脱毛や光脱毛(IPL)を用いた脱毛治療後の硬毛化の有病率を調査するために、体系的レビューとメタアナリシスを実施しています。検索用語として「laser」「intense pulsed light」「hypertrichosis」「hair removal」等が用いられました。硬毛化の有病率が主なアウトカムであり、メタ回帰およびサブグループ分析を用いて、治療法、患者の特性と硬毛化との関連を調査しています。

結果としては、22の研究が分析に含まれ、9733人の患者が研究されました。硬毛化の有病率は約3%(95%信頼区間は1-6%、I2 = 97%)でした。詳細は下の表にも表しています。硬毛化は顔または首と主に関連しており、顔や首以外のケースでは0.08%のみで発生とかなり低くなっています。治療法(レーザーの種類)や施術間隔は硬毛化の発生率に影響を与えませんでした。またこちらの報告では硬毛化の発生における性別や肌タイプの影響については、データが不十分で結論は出ませんでした。

この研究は、主にコホート研究に基づいており、レーザーまたはIPLを用いた脱毛治療を行う患者の約3%で硬毛化が発生することを示しています。硬毛化は主に顔または首の領域で見られ、顔や首以外の領域では稀となっていました。ただ実際の臨床現場においてはそれ以外の部位でも上半身では比較的みられるため、より注意が必要です。

なお、この体系的レビューとメタアナリシスにはいくつかの限界があります。多くの研究が観察的なものであり、サンプルサイズが限られていること、硬毛化を経験する患者の年齢や性別などの重要な要素が報告されていないこと、そして硬毛化の真の発生率が過小報告されている可能性があります。

サブグループ研究数硬毛化率 %(95CI)
IPL71(0-4)
アレキサンドライト113(1-12)
ダイオード 800/810 nm32(0-12)
Nd:YAG23(0-83)
異なる組み合わせ36(3-10)
治療部位:顔/首204(2-9)
治療部位:非顔/首40(0-1)
治療部位:情報なし22(0-14)
肌タイプ III–IV232(1-5)
肌タイプ I–II210(1-69)
肌タイプ:情報なし15(3-8)

6. 硬毛化におけるQ & A

Q1: 硬毛化が起きる原因は何ですか?

A1: 硬毛化の原因にはいくつかの仮説があります。一つは脱毛施術による中途半端な刺激が毛周期を変化させ、毛の成長を促進させる可能性です。また、脱毛時の熱による損傷が周囲の組織に加わり、サイトカインなどの修復物質が発毛を刺激することも考えられます。さらに、レーザーや光による毛の活性化が原因であるという説もあります​​​​。

Q2: 硬毛化はどれくらいの確率で起こりますか?

A2: 硬毛化の発生率は0.6%から10%程度と報告はありますが、本文中のメタアナリシスによると約3%の発生率とされています。男女差については不明なところもありますが当院の調査では男性が有意に多く起こるのではないかと考えております。

Q3: 硬毛化しやすい部位はどこですか?

A3: 硬毛化しやすい部位には、背中からうなじ、肩から上腕の外側、顔が含まれます。これらの部位は皮毛角が深くかつ産毛が多い場合もあり、メラニン色素が少ないため脱毛機器の反応が悪く、毛根へのダメージも弱くなりやすいです​​。

Q4: 硬毛化のリスクは脱毛方法によって変わりますか?

A4: 硬毛化のリスクは脱毛方法によって変わることはなく、医療脱毛でも脱毛サロンや家庭用脱毛器でも硬毛化が起こる可能性があります​​。

Q5: 硬毛化しやすい人の特徴は何ですか?

A5: 硬毛化しやすい人の特徴には、完全にはわかっておりませんが、体毛が薄いこと、毛根の位置が深いこと、毛量が多いこと、男性であることなどがあるのではないかと考えております。これらの条件は脱毛時のレーザー照射に対する反応が低いため、硬毛化を引き起こしやすくなります​​​​。

Q6: 硬毛化した場合の対策は何ですか?

A6: 硬毛化した場合の対策には、照射出力を高くする、波長を変える、経過観察をする、ニードル脱毛を行うなどがあります。出力を高くすることでエネルギー不足を解消する、深達性の高い波長に変える、または自然に毛周期によって生え変わりを待つ、ニードル脱毛で強く脱毛をするという方法があります​​。

Q7: 硬毛化を自分で見分ける方法はありますか?

A7: 硬毛化を見分けるためには、以下の点をチェックすると良いでしょう。

  • 時期:脱毛後1〜3ヶ月で変化があるか。
  • 施術回数:通常は2〜3回目の施術後に現れ始める。
  • 部位:産毛が多い部位や、以前より毛が濃く、硬くなっていないか。
  • 毛の質:脱毛前よりも毛が濃く、太くなっているか​​​​。

Q8: 脱毛後に毛量が増えた場合、硬毛化とどうやって区別しますか?

A8: 脱毛後に毛量が増えたと感じる場合、増毛化か硬毛化かを判断するためには、毛の変化を細かく観察することが重要です。増毛化は毛量が増えたように見える現象で、硬毛化は毛質が太く濃くなる現象です。硬毛化では、特に毛が太くなり、毛の色が濃くなる傾向があります​​。

Q9: 脱毛後に硬毛化した箇所がある場合、どうすれば良いですか?

A9: 脱毛後に硬毛化した箇所がある場合、まずは脱毛を行ったクリニックやサロンに相談することをお勧めします。専門の医師やスタッフが状況を評価し、適切なアドバイスや治療方針を提供してくれるでしょう。場合によっては、照射出力の調整や異なる治療法が提案されることもあります​​​​。

Q10: 硬毛化しやすい人に共通する生活習慣や要因はありますか?

A10: 硬毛化しやすい人に共通する特定の生活習慣や要因は、現在のところ特定されていません。ただし、一部の報告では、体毛がもともと薄い人や、毛根の位置が深い人、毛量が多い人、男性が硬毛化しやすいとされています。また、ホルモンの変化が影響する場合もありますが、これは個々人の生物学的特性に依存します​​​​。

Q11: 硬毛化はどのような形で症状が現れますか?

A11: 硬毛化の症状は、脱毛前よりも毛が濃く、太くなることが特徴です。特に産毛が多い部位や、通常よりも毛の質感が硬く、色が濃い場合に硬毛化を疑うことがあります。毛の先端が毛の根本と同じくらい太くなっていることや、周囲の毛と比べて不自然に濃い毛が生えていることが見分けるポイントです。

Q12: 硬毛化は永続的な現象ですか、それとも一時的なものですか?

A12: 硬毛化は一時的な現象であることが多く、自然に毛周期に従って毛が生え変わることで徐々に元の状態に戻ることがあります。しかし、状況によっては専門的な治療が必要になる場合もあります。硬毛化が持続するかどうかは個人差がありますが、一般的には時間の経過とともに改善されることが多いです。

Q13: 硬毛化予防のために脱毛前にできることはありますか?

A13: 硬毛化を予防するためには、脱毛前に専門医に相談し、自分の毛質や肌の状態に合った脱毛方法を選択することが重要です。また、脱毛箇所の写真を撮っておくことで、施術前後の変化を明確に確認しやすくなります。脱毛施術を受ける際は、医療機関または信頼できる脱毛サロンを選び、施術のリスクや効果について十分に理解しておくことが望ましいです。

Q14: 硬毛化と似た症状を示す他の肌の状態とは何ですか?

A14: 硬毛化と似た症状を示す肌の状態には、毛穴の閉塞や埋没毛、ホルモンバランスの変化による毛の変化などがあります。これらの状態は硬毛化と似たような毛質の変化を引き起こすことがあるため、症状が硬毛化によるものかどうかを正確に判断するためには、医療専門家による評価が必要です

 

 

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記事執筆

森口翔 M.D. Ph.D
森口翔 M.D. Ph.D
慶應義塾大学医学部卒業
慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了
医療脱毛専門クレストスキンクリニック医師

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